喜屋武ちあきの新井素子風自己紹介が巻き起こした波紋(前編)
2013年4月28日に開催された「ニコニコ超会議2」の併催イベント「日本SF大会"超"体験版」の企画「きゃんちさん(喜屋武ちあき)の新井素子風自己紹介が巻き起こした波紋……」を文字起こししました。
http://www.sf50.jp/niconico/kikaku1/sc_c.html
あ、この辺で自己紹介しとくね。あたし、ゾイド。身長158センチ。体重は……えと、これでも一応女の子なので秘密にしとこうかな。靴のサイズは23.5。身長も靴のサイズも、至って日本人の平均ど真ん中ってとこ。とかって新井素子風に自己紹介してみる。
えっと、そろそろ前編が始まります。
川端裕人(以下、川)「僕、きゃんちと会ったの今日が初めてで」
喜屋武ちあき(以下、喜)「はじめまして」
川「はじめまして」
喜「あの、あれですよね、川端さんといえば風男塾という男装アイドルユニットがエンディングテーマを担当しているアニメ『銀河へキックオフ!!』の原作者の川端さんですよ」
川「風男塾とは仲良しなんですよ。風男塾の桃太郎君とか特に仲良くて、よく話を聞いてたんだよね」
喜「そうなんですよ。あの大丈夫です。同一人物という設定で問題ございませんので」
川「はい、ここで縛りが一つ解けました」
喜「設定を守って頂いてるんですけど、私、風男塾という男装アイドルユニットをやっていまして、そっちの方で川端さんとは面識があったんですけど、今日はこの何て言うんですか、色んな経緯で」
川「どういう経緯だったんですかねえ」
桜井晋(以下、桜)「一番最初にTwitterで新井素子風自己紹介を書かれたのがきっかけで」
喜「そうですね。凄く厳密に言い始めると長ーくなっちゃうから、今回のニコニコ超会議で、SF大会"超"体験版で、こういう企画が行われるようになったっていう経緯は、私のTwitterでの自己紹介からですよね」
桜「そうです」
喜「そうです」
川「それでですね、とにかくきゃんちが新井素子さんに会いたいと」
喜「会いたかった」
川「僕、素子さんに会った事あるよって、誰かに話してみようかって」
喜「凄い、良いなあって言って。そしたら色々と繋げて下さって、ね」
川「もう十五分後くらいにね」
桜「回り回って、僕、別の仕事で喜屋武ちゃんとご一緒した事がありまして」
喜「桜井さんとは逆にもう五年くらいのお付き合いでもあって、SF大会にも前から是非ってお誘い頂いてたんですけど、なかなかスケジュールが合わず行けなくて」
桜「それで川端さんの方からぐるっと回って、じゃあ僕から喜屋武ちゃんにって事で、今回、僕ら見届けさせてもらいます」
喜「ありがとうございます」
川「で、最初にここで一つお願いしたいんだけど、僕らなんかどうでもいいから、きゃんち、みんな知ってるだろうと思うけど自己紹介お願い出来ますか? 新井素子風に!」
喜「えー」(会場拍手)
川「これ大事だよね。それ終わったら素子さん呼ぼう」
喜「そうでなくても今、いっぱいいっぱいで頭が真っ白なんでございますよわたくしはもう」
川「いいじゃないですか」
喜「えーどうしよう。はい。あー。ああー。はい。えっと、じゃあこの辺りで自己紹介しとくね。あたし、喜屋武ちあき。身長158センチ。足のサイズは23.5。年齢29……歳になりました(照)。どこにでもいる普通の女の子です。はい、もうよく分かんない。はあ、もう駄目ですよ今日は」
川「オッケーですか?」
喜「いいよね、もう? えっと、あたしって言ってれば。そこが大事ですよとても」
川「あれだよね。体重は? とか聞かれたら?」
喜「体重は46キロくらい」
川「それ、それ、新井素子さん的にはそれ違うでしょ」
喜「あの内緒、にしとく、女の子だから」
川「女の子だからって言わないと」
喜「忘れてた。女の子っていう事だった。女の子だから内緒です」
川「はい。これまで引っ張っても仕方ないですね」
喜「そうですね」
川「じゃあそろそろ」
喜「でも私、今日これTシャツ、下に、これ(下のTシャツ)」(会場拍手)
川「I LOVE SF、ね」
喜「脱ぐべきか迷ってるんです。でもこれ(上のTシャツ)は五十周年のSF大会のやつだから」
桜「これ、SF作家クラブの」
喜「SF作家クラブの五十周年の記念のTシャツなんですけど、中は」
桜「I LOVE SF、で」
喜「はい。SFリスペクト」
川「ではどのタイミングで脱ぎっぷりを披露して下さるかってのは後々のお楽しみに」
喜「もう、あの、はい」
川「じゃあ何はともあれ」
桜「呼びましょうか」
川「みなさん、みんなで呼びますか? 素子さーんって。いい?」
喜「はい! いいですよ! あ、やばいやばい……」
川「せーの……」
喜「待って! やっぱ駄目! やっぱ駄目ー! ああああ!」
桜「もう出てきますよ」
喜「じゃあ、お呼びします。素ちゃん! 素ちゃん! わあ、こんにちは!」(会場拍手)
喜「はじめましてどうも。わあ、ちょっと、どうしようどうしよう。本物ですね。やばーい。やばい、落ち着こう」
川「落ち着け落ち着け。挨拶は?」
喜「はい。えっと、あたし、喜屋武ちあきと言います。よろしくお願いします」
新井素子(以下、素)「はい、どうも、はい。あたし新井素子と申します。よろしくお願い致します」(会場拍手)
桜「じゃあ座って頂きましょうか」
川「ちょっと落ち着く為にも座りましょうか」
喜「はあ……」
桜「この時間は喜屋武ちゃんの六十分なんで」
喜「ありがとうございます。すいません、ほんとに。もう、なんか、色々とすいません。ありがとうございます。はあ……」
素「ははは」
喜「あの、この眼鏡はやっぱり自分の中ではアラレちゃん眼鏡ではなくて、アライちゃん眼鏡っていう感じなんですよ。素ちゃんが……。素ちゃんってそもそも呼んですいません!」
素「どうぞどうぞ」
喜「大丈夫ですか、素ちゃんって」
素「大丈夫」
喜「目の前にすると素ちゃんって言うのは失礼な気がするんですね。新井先生が……」
素「素ちゃんでいいから、素ちゃんでいいから」
喜「素ちゃんが眼鏡をよく掛けていらして、当時ね、掛けていらっしゃたかなと思いまして。今日はちょっと眼鏡とか持ってきたりしました」
素「でも似合ってた。可愛かった」
喜「ありがとうございます。よろしくお願いします」
素「よろしくお願いします」
川「きゃんちは小学校の頃にお母さんの影響で新井素子の本と出会ってしまった。運命的に出会ってしまった」
喜「そう! 私は父親が元々編集者をしてまして、母は凄い本が好きなんですよ。それで環境的に小さい時から家にいっぱい本がありまして、それで小学生の時に母から薦められて、一番最初に読んだのは、あの『くますけと一緒に』を読ませて頂きました。それが多分、小学校二、三年です」
素「あんまり小学生に読ませる本じゃなかったような気もするんですけど」
喜「はい、実はその通りでして当時はでも自分の都合の良い所で、くますけの可愛さとか、そういう所で読んでたんですけど、今思うと最初に読む作品という感じ、まあ、何を母が考えていたのかはちょっと分かりませんが」
素「ヒロインがその年なので、そんなもんですよね?」
喜「そうですね」
素「それ以外のはどんなに若くても16歳くらいだったから」
喜「はい、そうですね。やっぱり多分ヒロインが若いって所で共通するかなと思って」
素「しないよ多分(笑)」
喜「まあ、そうですよね。母親、親が亡くなってる所からの話ですからね、あれも。何故かはよく分からないんですけど」
素「私の話って親の葬式から始まる話多いね(笑)」
喜「ははは。確かに親が亡くなってしまうとことかありますよね確かに。描写としては。でも全然、おかげさまで今はすくすくと成長しておりますので。なんら人格形成に問題はなかったんではないかと思われます」
素「ありがとうございます(笑)。人格形成に問題なくて良かった」
喜「ありがとうございます。あの、今日、素ちゃんにお会いするという事で、ニコニコ超会議……。素ちゃんって、ぬいさん(縫い包み)が凄い好きですよ。好きなんです。よね?」
素「はい、ええ」
喜「動物とかのぬいさんの方がお好きかもしれないですけど、もし良かったら今日、お土産にと思って、ニコニコ動画のテレビちゃんの縫い包みを差し上げます。良かったらお持ち帰り下さい。ふわふわで気持ちが良いです」
素「この子が普通の顔ですか?」
喜「この子が普通の顔なんです」
素「なんかね、さっきね、そこの囲碁将棋のとこ覗いてたら障子紙にこの顔が少しデフォルメされてて。あっちが普通じゃないんだ?」
喜「多分、大体こんな感じですよね、顔はね。テレビちゃんは」
素「ごめん、縫い包みの顔のどっちがデフォルトかってのは、こういうとこで聞く事じゃないね(笑)」
喜「でも大体こういう感じで。テレビちゃんの、ね」
素「ずっとね、分かんなくて、入ってきたらこれ付けてる人がいっぱいいて」
喜「そうなんです、これ」
素「アンテナなのね」
喜「そうですそうです、テレビちゃんのです」
素「ねえ、今時のテレビってアンテナってあるの? あるのか。あるんだ?」
喜「いや、ないですね、今は。ないですないです。テレビはアンテナないです」
素「そうか、君は旧型なんだな、少し」
喜「はい。で……。それで?(笑)」
川「素子さんなんかにしてみるとね、僕なんか、ほら、青春時代の、一緒にいつもいた素子作品なんだけど、でもちょっとジェネレーション違うでしょ? その一つ子供世代に近いような? そういう方って最近増えてます?」
素「いや、私ほんとに分かんない(笑)」
川「分かんない? 結構、鹿児島の公演とかでも……」
素「あ、やっぱりね、あのね、私よりきゃんちさんくらいの年で小さいお子さんがいらっしゃる感じくらいの、ちょっときゃんちさんが上なのかな? そういう人がメインだった。だからこの間、鹿児島でプラネタリウムの企画をしたんですよ。プラネタリウムの企画だから子供連れのお母さんが結構来てて。小さい子供だから二十代後半から三十代前半くらいのお母さんで、読者だった方が結構来て下さって。私のトークイベントとかその後サイン会やったら結構並んじゃって。子供が凄い帰るとか言ってんのに、お母さんがママが楽しむんだからこれから、とか言って。申し訳ない事をしてしまったかもしれない(笑)」
川「それってママが無理に連れて、ママが行きたいの、とか言ってるのね」
素「そう、これって子供向けのプラネタリウム番組で、終わった後に一時間も並ばされるって子供にとっては悪夢だよ(笑)」
川「やっぱりね、なんか、ちょっと珍しい所ありますよね、きゃんち、ね」
喜「そうですかね。なので本当、素ちゃんの書かれた作品は常に家の本棚に並んでいて」
素「ありがとうございます」
喜「でも自分でわざわざね、勿論、大人になってからは自分で本屋さんに行きましたけど、もう常にそこにある状態で読み放題だったんですよ。で、凄く自分の人間を作る上で新井素子さんという方が自分にとって凄く大部分を占めているんですよ、ほんとに。そういう育ち方をしてきたんですよ。幼稚園の時から自分でお話を作って、絵本を紙で作ってお父さんに売ったりとか、五十円ぐらいで買ってくれるんです(笑)」
素「売ってんのか(笑)」
喜「五十円くれるんですよ(笑)。描くと。で、小学生の時に小説を夏休みに書いて市のコンクールに応募して賞を頂いたりした事もあって。全部、素ちゃんの影響というか」
素「売りはしなかったけど私がやってるような事だもんね(笑)」
喜「同じですか?」
素「うちも親が両方編集なんですよ。家にやったら本があって。父がSFとミステリーのマニアで。当時だから早川の銀背とかポケミスとか創元のSF文庫とかがほとんど手付かずに全部あったんで、何一つ買わなくて読めたっていうね」
喜「それは凄いですねえ」
素「凄い恵まれた環境だったんですよ」
喜「素ちゃんが『銀婚式物語』で家を建てて、全部本の為に家を造ったじゃないですか。それ自分も小さい頃からの憧れというか、夢ですね。その環境はやっぱり」
素「あれはね、造っといてなんだけどめっけもんだったと思う。とにかく天井までの作り付けの本棚がずーっとある部屋なんで」
喜「凄ーい!」
素「それが五十センチ間隔で本棚が並んでる部屋なんで要するに何て言うんだろ、本棚の奥行きが四十センチくらいあるから八十センチメートルの柱が六十センチ置きにずーっと立ってるって異常な部屋なんですよ。だからとにかく暗いし換気は悪いし、ただでさえ三年くらい接着剤の臭いが抜けなかったんだけど、逆に言うと、この前の東日本大震災でこの本棚の本、一冊も落ちなかった」
喜「おお、凄い」
素「作り付けの本棚は凄いよ。同業者で本棚が折れてパソコンに直撃とかって話、結構聞いたんで、天井まで作り付けの本棚は、みなさんの命を守るかもしんない」
喜「ほんとそうですね。天井まで作り付けの本棚のある家に住みたい」
素「しかも長さが六十センチあって、作り付けなんで遊びがないので、物理的に倒れようがない。あとは家そのものが倒壊したら駄目ですけど、その時はどっちにしろ命はないという事で(笑)」
喜「造ったばっかりの家がすぐ崩壊したら結構悲しくなっちゃいますよね、確かに。あの、それで、あの……」
川「きゃんちきゃんち、じゃあさ」
素「頑張れ!」
川「あ、どうぞどうぞ」
喜「あの、はい、あっ」
素「いや、私は単に頑張れって言っただけだから」
喜「ありがとうございます。多分、母が素ちゃんの作品を好きだった理由の一つに、母も東京出身というか、中野区辺りだったと思うんですけど母は。私も生まれから西武沿線なんですよ。西武線にずっと住んでいて、所沢の方なんですけど。なので練馬という場所が自分にとって聖地というか、練馬にはあまり小さい頃は行った事がなかったんですけど、素ちゃんの本で練馬の事が書いてあったりとか、あとエッセイでお散歩の話とか、道に迷ったって話とかいっぱい出てくるじゃないですか。なので最近また『・・・・・絶句』を読み直した時にも飯田橋って分かる、みたいな。当時は全然分からなかったのに。って凄く思ったりとか。しました。という報告です」
川「あのさ、ここまで愛を告白したら、もう個別にきゃんちが薦める新井素子作品集みたいな、自分が作品集を作るんだったら第一巻は何で、みたいなの作っちゃう?」
喜「えー、そんな事、いやいやいや、え?」
川「じゃあ、まだ未読の幸せな人達にお薦めするベスト5とかさ」
喜「未読の方に……。私は、ぶっちゃけ一番好きな作品は」
川「くますけ?(笑)」
喜「『星へ行く船』シリーズが凄く好きで……。あ、みなさんも好きですか? 嬉しい。このシリーズは冒険活劇というか、自分の中で夢があったりとか宇宙に行きたいなとか、そういうのを初めて思った作品かもしれなくて、だから『星へ行く船』シリーズを入れたいんですけど、シリーズだけでもう本がいっぱいになっちゃうから駄目ですよね。どうしよう」
川「でもそれちょっとプッシュしといた方がいいよ。なんか再刊が決まってるんですよね?」
素「ええとね、とりあえず今『星へ行く船』は手に入らないと思うんで、現状。今度、出版芸術社から五冊、改めて『星へ行く船』から『そして、星へ行く船』までを再刊してもらって、予定で、去年の間にゲラまでは終わってるんですよ。あとはだから私が各々一本ずつ書き下ろしを書けばいいだけなんだが(笑)」
喜「いやあ、書き下ろし! 凄い!」(会場拍手)
川「ほら来たね、これ、書き下ろし」
素「とりあえず短編で水沢所長の事情とか麻子さんの話とか中谷君の話とか熊さんの話とかを書こうかなあ、と。要するに主人公二人はもうずっと出ずっぱりだから。とりあえず中谷君までは行ったんで。今は水沢さんを書いてます」
喜「水沢さん……。楽しみ凄い。あの『星へ行く船』シリーズもそうだし、スターシステムと言われるような形で素ちゃんて登場人物が他の作品にも出てくると思うんですけど『・・・・・絶句』のあとがきとかに、この後こうなりますって書かれてたじゃないですか。そういうのとかも勝手に想像して楽しんだりとかもするくらい」
素「そうしてくれると嬉しい」
喜「楽しんでます」
素「このシステムの一番の問題は私が年を取ると対応出来ないって事なんですね」
川「はははははは」
素「つまり、ものによってこれは昭和何年とか平成何年って判っちゃう話があると、年が凄い勢いでずれてんのよ。書くのが遅い所為で『ブラック・キャット』を最初に書いたのが中学校の時だったから、その当時の設定で行っちゃうと秋野警部が奥さんと離れ離れになった事情とか全部作ってあるんだけど、あったんだけど、すまん、今更戦後のごたごたを持ち出されても困るでしょうって、そういう話になっちゃってるんで」
喜「そうですよねえ」
素「一体この人達は何歳なんだっていうね」
喜「うんうん、確かに」
素「実生活で四十年経過してる間に話の中で一年経過してないから(笑)」
喜「実際の時間っていうのが。確かに自分の中では、作品を読んだのがリアルタイムで出版されてすぐじゃないものもあるんですけど、だから青春時代に川端さんは読まれていて、出たら買いに行くみたいな。本が出た日に手に取れたんですよね? 当時は。それがあまりなかったので、私は。いつ書かれたものとかそういう年表みたいなものは頭の中にないですね。昔の事だとも思わないですし」
素「年代を特定させるような事はほとんど書いてない筈なんで、極めて特殊な話を除けば。全然気にしなくて読んで頂いてそんなに問題ないと思うんですよ。唯一問題なのは登場人物が誰も急ぎの用がある時に携帯を使わない事なんだけど、なかったから当時は」
喜「で『星へ行く船』が再刊行されるという事で、私は本当に、これは願望ですけど、私がもし宝くじを当てて三億円を手にしたら、まず最初に素ちゃんの『星へ行く船』シリーズのアニメ化をやりたいんですよ」(会場拍手)
素「ああ、良いなあ」
喜「本当に面白い作品ですし、今の時代にも、丁度アニメとかってSFっぽいとか魔王とか、最近のアニメそういうのが多いんですよ。それは何故かというと、ファンタジーを読んで育った大人が今、スタッフさんとして入ってるからだと思うんですよ。なので素ちゃん好きのスタッフさんもたくさんいる筈だし、だから、ちょっと桜井さん『星へ行く船』アニメ化!」
桜「やらせて下さい」
喜「やりましょうよ、プロジェクト」
桜「どこでお金集めるかやね。まずそっから」
喜「ちょっと、製作委員会作りましょうよ。お願いしに行きますから私、本当に」
川「関係者の方、あとで後ろに集まって下さいね」
喜「アニメ作れる人! お願いします!」
川「あの、お金持ちとか、お金持ちとか、お金持ちとか」
桜「宝くじ当たった人とか、よろしくお願いします」
喜「スポンサーさーん! お願いしまーす! でも本当に私お金あったら出すくらい好きなので、そういう方いると思うんですよね」
素「いてくれたらありがたいんですけど」
喜「素ちゃん的にはどうですか、そういう自分の作品がアニメとか例えばドラマとか、前に『結婚物語』とかドラマになってますけど」
素「私、自分のお話が二次使用されるのは凄い好きなんですよ。嫌いな人もいるんだけど、要するに小説が終わっちゃった後は自分の作品じゃないと思ってるんで、なんか私の作ったキャラクターと設定を使って他人が遊んでくれてる感じが好きなんだけど。だからあまり原作に忠実にやるよりは思い切り愛を込めて変な風にしてくれた方が嬉しかったりするんですが」
喜「素晴らしい。でも自分達の中にも太一郎さん像とかめっちゃあるんですよ。太一郎さんはこうじゃなきゃ駄目なんだみたいな、凄いこだわりがあるから」
川「それキャラデザレベルから人にやられるんだったら自分でやりたいって?」
素「多分、全員一致しないよね。ここにいる三人が適当にキャラクター設定したら必ずずれてると思うし」
喜「ああ、ありますね、多分ね。でも絶対に太一郎さんとかは今の時代にもみんな格好良いと言うヒーローだと思うんですよ」
素「だと良いですけど、うん」
喜「格好良いから、と思います。是非メディアミックスというか新たな展開がいっぱいあると良いなって思っていて」
川「あれでしょ、風男塾がオープニング歌うんでしょ?」
喜「他の人が歌うくらいだったら歌いたいですよ、本当に」
川「エンディングも歌うんでしょ?」
喜「だって、作品とか好きじゃないのに、ね? 歌うのはちょっと違うじゃないですか。愛があるから歌うんでしょ!? ってめっちゃ思うもん。だって私、風男塾で『ヤッターマン』ってアニメのオープニングテーマを歌わせて頂いた事があるんですけど、その時もコンペに出したんですよ。曲を歌って。で、山本先生から、風男塾は一番歌が下手だったけど一番愛が伝わったっていう理由で選んで頂いたっていう経緯もあるし、やっぱ愛ですよね、全ては。って思うんですけど。川端先生のね、作品もアニメ化されてますからあれですけど」
川「愛を歌ってくれたよね」
喜「勿論。だって原作もすぐ読みましたし。愛を持って歌いました」
川「ありがとうございます。風男塾の仲間にまず素子教を布教しないといけないよね」
喜「ん?」
川「風男塾の仲間に素子さんの作品どんどん読ませないと」
喜「はい、それはもう私が全部読み聞かせをします(笑)」
川「読み聞かせね(笑)」
喜「多分、風男塾って言っても素子さん何の事だか分からないと思うんですけど、こういう男装アイドルユニットをやっていまして、えっと眼鏡が……」
素「そうなのー!?」
喜「そうなの」
素「ふーん」
川「判りますか? 誰か」
素「全然判んない。これ男の人に見える」
喜「そうです。こういうのあったりとか。このピンクが私。男の子に見えるって言ってくれた!」
素「ごめん、男の子に見えちゃまずい?」
喜「ううん、嬉しいです」
素「男の子に見えちゃったんだけど」
喜「で、自分は文章とかを書くのが好きなんですけども、この七曲目の『飛び立て!フゥレンジャー』っていう曲は私が作詞を初めてした作品で、これは素ちゃんに捧げます」
素「ありがとうございます。早速帰って聴いてみます」
喜「ありがとうございます」
素「でもほんとにほんとに同じ子に見えないよー」
喜「ありがとうございます。嬉しいです。やっぱり私は今の時代でいうと凄くおたくなんですよ。アニメとか大好きで、小さい頃から本をいっぱい読んで育って。その根底に素ちゃんがいるという事で、はい。今日はこのような良き日に……」
桜「まとめないで下さいよ。まだまだありますよ」
川「まとまっちゃったね、見事に」
素「今まとめるような時間なの?」
桜「全然。まとめたら駄目ですよ。まだまだいけますよ」
川「もしもまとまっちゃったら最終兵器ちっち呼ぶからね?」
前編終了であります。