Science Fiction

もしも君が、ほんとにこの話を聞きたいんならだな、まず、僕がどこで生まれたかとか、チャチな幼年時代はどんなだったのかとか、僕が生まれる前に両親は何をやってたかとか、そういったデーヴィッド・カパーフィールド式のくだんないことから聞きたがるかもしれないけどさ、実をいうと僕は、そんなことはしゃべりたくないんだな。第一、そういったことは僕には退屈だし、第二に、いや、やっぱりこの話はやめよう。ただ、中学生の頃に『SFハンドブック』なんて本を買っちゃってさ、そのためにこんな本の山と暮らさなくちゃならなくなったんだけど、それから、いろんなSFを読んだからね、その話をしようと思うだけなんだ。つまり、お薦めSF作品の紹介だな。今回は漫画に限定するわけだけどさ。

 

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"白く輝く花のように天蓋を覆う鏡の太陽……

その口から大量の水を吐き続ける岩の巨人……

樹高千メートルを超す巨大な森の上空にそびえ立つ風船蔓は

今も大気を浄化し続けています

ここはかつて金星と呼ばれた世界――

数十億年もの間灼熱地獄だったこの惑星を

人類はたった三世紀で造り変えてしまいました――

しかしその後の一万年の歳月とこの惑星の圧倒的な自然は

取り残された人間たちから

かつての叡智を奪い去るに十分なほど過酷だったのです"

 

一冊目は菅原雅雪著『暁星記』全8巻。

僕は書店で表紙と帯に惹かれて購入したんだけどさ、その帯文を書いてたのが新井素子さんなんだな。「現代とは違う雄大な時間の河を流れる物語。単行本で読むのが一番ふさわしいお話だと思う」ってさ。連載してたのは『モーニング』だったんだけど、途中から『別冊モーニング』に移籍して、そう、この雑誌が季刊でさ。週刊から季刊ってどういうわけだよ、まったく。しまいに6巻以降は描き下ろし単行本ときたもんだ。まあ、無事に完結したからいいんだけどね。素子さんの言葉は正しかったってわけだ。でも雑誌掲載時は不人気だったのかもしれないけどさ、内容は素晴らしいんだぜ。宮崎駿著『風の谷のナウシカ』に匹敵するといえばその凄さがわかるかい? ああ、アニメじゃない、漫画の、原作だな。とにかくさ、架空の生態系、文化や習慣、何から何まで作り込んであるんだから、とんでもない作品だよ。

 

 

 

"NEW YORK CITY. EARLIER...

「Logan ! You are the Wolverine, yes ?」

「What's it to you, kid ?」

「My name is Fusa. My people need your help ! Please, Logan. We're being killed off. Only you can save us.」

「What are you talkin' about, darling ?」

「I'm sorry. There's no time for questions. Please... Just take my hand.」

CLICK

VWOOOSSH

「What the... ?!?!」

HRRRMMM

「No ! You mustn't let go during the transfer.」

「Transfer ?」

「Logan !!」

VWWWIIISSH"

 

二冊目は弐瓶勉著『SNIKT!』。

おっと、悪いな、もう時間がない。続きは近日中に書くからさ、何日か経ったらまた来てくれ。じゃあ、またな。

喜屋武ちあきの新井素子風自己紹介が巻き起こした波紋(後編)

2013年4月28日に開催された「ニコニコ超会議2」の併催イベント「日本SF大会"超"体験版」の企画「きゃんちさん(喜屋武ちあき)の新井素子風自己紹介が巻き起こした波紋……」を文字起こししました。

http://www.sf50.jp/niconico/kikaku1/sc_c.html

 

えっと、そろそろ後編が始まります。

 

喜「今ってどれくらい、外出とかされるんですか?」

素「え、何?」

川「はは、外出?」

喜「だって聞いてると、ほんとに一日活字を読む事が幸せだと仰っていたので、外出される機会ってどれくらいあるのかなと思って」

素「外食はね、基本的にはですね、仕事があって帰れる時間に夕飯作れない時とか、パーティーその他でそもそも出たら食事だ、みたいのとか、あとは旦那とたまに外で食べるくらいですね」

喜「……外食。……外出は? 私が悪かった。大きな声で。あの『外出』」

素「『外出』。失礼しました。今『外食』って聞いて答えてました。何の事だと思った」

喜「すみません」

素「外出はですねえ、同じ」

喜「同じ。大体、分かりました」

素「ただね、外出は一日一回はするようにしてます。あの、単純にそろそろメタボ的に一日、まあ、四十分以上は歩きなさいという事で。家の周りを歩いて買い物をして帰ってきて、うちでご飯作ってます。外出って言うのかな?」

喜「言います言います」

素「夕飯の買い物って言うんじゃないかな?(笑)」

川「はははは」

喜「でも四十分は結構な外出です」

素「実はうち駅まで片道二十分なんで、駅行って帰ってくると四十分なんですけど」

喜「結構遠いんですね」

素「そうですね」

喜「でも良い運動になるというか」

素「でもこれは夕飯の買い物だよ。外出じゃないよ」

喜「凄い、喋ってる事が素ちゃんだよね。凄いなあ(笑)。このままやっぱ文体になってるんだなあ。自問自答が行われている感じが素ちゃんだなあ」

川「なんかさあ。素子さんの作品でよく違う世界の自分みたいな子が出てくるじゃない? ちょっと世代が違うけど二人並んでるって感じがするよね。親が編集者で、本いっぱいあって、って」

喜「全然、私は劣化版。劣化している版ですよ。進む道が今また違ったりとかするので。でも私も小説を書きたいって今でも思いますし、将来は文章を書いて家でいっぱい本を読んで生活したいっていう夢があって」

素「うん、あの、これ本当にひきこもりタイプの人には、あ、ひきこもってはないもんね。でもひきこもりには向いてます、作家って商売」

喜「川端さんはどうですか? 作家という商売は」

川「いや、楽しいですよ。でも、まあ、話はそこではなくて。えと、あれでしょ? 需要がある限りはグラビアアイドル、だよね?」

喜「あ、そう。私グラビアアイドルもやってるんですよ」

素「凄い!」

喜「ありがとうございます」

川「あの、みなさん『プレイボーイ』見ました?」(会場拍手)

 

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喜「プレイボーイ、プレイボーイ」

川「ここだけ語らせて。あれ見て初めてアイドルのお父さんの気持ちが解りました。あれ見て、なんかエロじゃないのね。勿論ナイスバディなんですよ。でも、ああ、ああ娘よ、みたいな気持ちが初めて解った(笑)」

喜「お父さーん!」

川「なんか邪じゃない綺麗な川端みたいな」

喜「ありがとうございます。綺麗なジャイアンみたいな」

川「綺麗なグラビアでした」

喜「嬉しいです。確かに知ってる人だと余計に気まずいみたいなのもあると思うんですよ」

素「でもさ、写真を撮られるって結構大変な仕事ですよねえ」

喜「そうですね、グラビアはずっとお休みしていて。私その十年前にデビューしてから、もう五年くらいきちんとグラビアやってなかったんですよ。でも文章もそうなんですけど、自分というものをアウトプットしたいっていうのが自分の意識としてあって」

素「気持ち、演劇に近いのかなあ」

喜「そうですね。近いかもしれない。グラビアをやる為に、表現したいものがそこにあるので、ただ水着を着るとか、ただ露出度が高いという事ではなくて、作品を作るっていう意識です」

素「きゃんちってキャラクター作って見せるんだ、色んな」

喜「そうですね、そういう形に近いです。そういうのもあります。でも需要に、ニーズに合った、とかも考えるし」

素「そうだよねえ」

喜「作品を作る上では自分が書きたい事だけじゃなくて、その時のニーズに合わせたものっていうのは意識されたりしますか?」

素「あのね、物凄い我が儘だから自分の書きたい事しか書いてない」

喜「うんうん、そんな感じがします」

川「ははははは」

喜「違う、でも素ちゃんはそうじゃなきゃ駄目っていうか、素ちゃんが急に、ちょっと今、時代こういうのだからこういう事を書こうとか言ったら全然違う感じがしますね、それは。イメージじゃない」

素「まあ多分、出来ないだろうし、本当だって、そう、16かそこらの子供が自分のやりたい事やって、やってるだけで三十五年きちゃったんだから、もうこのまま我が儘を押し通すしかないよっていう」

喜「実際に16とかでデビューされたら、ずっと同じ環境がそこにある訳ですよね。小説を書いて、読んで、生活、それで食べていくっていう事をずっとやられている訳じゃないですか。ある意味変わらなくても……」

素「ほんとにねえ、ある意味代わり映えしない毎日で、23の私の生活と今の私の生活と、ほとんどやってる事は変わってないと思う」

喜「でも、完成形が既に16とか23の時にあったって事じゃないですか。自分の人生の中でこれがやりたいって事がその時にFIXしてる訳ですよね。それは凄いと思うんですよ。私なんかもう、あれもやりたいこれもやりたいで、今。もう若いアイドルさんって訳じゃないのにもかかわらず、また新しい事をやってみたいとか、昨日とは違う事をやってみたいっていう意識が強いので」

素「それはあった方が良いかもしんない。私はあくまで本当に好きな事しかやんなかったんで、私の今までの人生とっても幸せだったと思うんだけど、他の事に手を伸ばした方がもっと違うお話も書けたかもしんないし、社会経験の少なさっていうのが凄く思います。今になって」

喜「会社員として働いた事はないんですっけ?」

素「会社員だけじゃなくて、バイトすら一回しかやった事ないのよ」

喜「わあお」

素「だって高校までバイト禁止で、高校二年以降はバイトするより仕事した方がよっぽど金になったので(笑)」

喜「今、新しくやってみたい事ってなんですか? もし何でも出来るって言われたら、バイトでも何でもいいし、趣味でも何でもいいけど、新たに何か始めたい事っていうか」

素「うーん。あのー。そうだなあ。もう少し体力がある頃に一回ちゃんと運動部に入って体鍛えるってやってみても面白かったかもしんない」

喜「運動は何がいいですか?」

素「……(無言)」

川「はははははは」

素「あの……」

喜「運動というものに対して素ちゃんが物凄い疎いという事が判る」

素「一時期、泳ぐのが結構好きだったんですよ。ある程度泳げた時は。でも、それでも今から七、八年前に一回泳いでみたら、もう全然駄目で、体が忘れてて。昔はそれでもね、少なくても五十メートルくらい泳げた筈なのに、今十メートルくらいで息が上がって立ってしまう私って何? って」

喜「はい」

素「基礎体力の低下ってもんじゃないものが起こっている。私の体の中で」

喜「自分もやっぱり運動を常にしないと駄目だなって思っていて。ライブとかで二時間三時間歌って踊ったりするんですよ」

素「何やってるんですか? 基礎体力作り」

喜「ええと、走ったりとかジムにも通ったりとか」

素「偉い」

喜「やっぱり体力勝負の仕事なので。風邪引いて自分が仕事に行けなかったら、もう終わっちゃう事なので。プロとして失格と言われちゃうレベルじゃないですか」

素「それはだから歌手さんとか俳優さんとかその類いの、何て言うんだろう、自分のままが出ないといけない仕事の方、本当にそういう意味で大変だと思う」

喜「効率は良くないと思うんですよ、それって。だから、おうちにこもって仕事が出来たら将来的には良いなと思いますね」

素「こっちはね、少なくても37度までなら熱が出ても人に気付かれないもん。私がしんどいだけで」

喜「痩せ我慢出来るのはいくつまでなんだろうって思いますね」

素「そんなに素晴らしく遠い日じゃないからさあ、痩せ我慢利かなくなるのは」

喜「そうなんですよー」

川「人生の真実を語り掛け、宴もたけなわなの所なんですが、そろそろ締めに掛からなければ」

喜「えー。まだまだ、そんな時間は」

川「裏で続けて頂く事にして。変わらない新井素子という事で資料を持ってきてあります。これはあとがき……」

喜「あとがき!」

川「……の書き出し一覧っていうのを作った方がいらっしゃって、インターネットで公開されているんですけど。1980年7月。『いつか猫になる日まで』文庫。集英社コバルト文庫ですね。書き出し。『えっと、書き出しです』で、2012年8月。『くますけと一緒に』二次文庫なのかな。中公文庫。あとがき。『あとがきであります』で、これ延々と続けるんですよね、恐らく」

素「あのね、『あとがきであります』は、最近は大抵『あとがきであります』だね」

喜「なんでそっちになったんですか? 最初は『えっと、あとがきです』みたいな」

素「『えっと、あとがきです』をやってたら、結構あちこちで散々いじられて、いじられるのは別にいいんだけど、段々そうだな、さすがにね、35を超えた辺りで『えっと』はやめた方がいいかもしんない」

喜「あはは。そういう自分の中で……」

素「そっから『あとがきであります』にしたんですよ。これだったら60で『あとがきであります』っても何か文句あるか!」

喜「うんうん」

素「このまま行っちゃえという感じで」

喜「はいはい」

 

川「ではここで、ちょっとサプライズもあるんですけど、本当に事実上の締めとして、それぞれ『えっと、あとがき』……」

桜「…………」

川「やりますか?」

桜「ちょっと持ってきてもらっていいかな」

川「何か物々しくね、出てきました」

桜「ちょっと新井さんから渡して頂けたらいいな、と。新井さんから是非」

喜「何ですか?」

桜「ええと」

喜「え、何これ!」

桜「今日、新井さんと喜屋武ちあきさんがお会いしましたという証明書」

喜「凄ーい」

桜「立会人代表という事で川端さんのサインも頂いております」

喜「凄ーい」

桜「ちょっと新井さん読み上げてお渡しして頂いていいですか?」

素「はい。えー。証明書。喜屋武ちあき殿。あなたはニコニコ超会議2併催イベント日本SF大会"超"体験版内企画『きゃんちさん(喜屋武ちあき)の新井素子風自己紹介が巻き起こした波紋……』において、遂に私と出会った事を証明します」

喜「わあ。ありがとうございます」(会場拍手)

素「2013年4月28日、ニコニコ超会議2併催イベント日本SF大会"超"体験版にて。新井素子

川「立会人。川端裕人

喜「わあ、凄い。ありがとうございます」

川「じゃあ、きゃんち、あとがきコメントをどうぞ」

喜「もう終わりですかあ? 嫌だあ。やあ、凄い、あの、本当に何か申し訳ないですね。今回このニコニコ超会議っていう大きなイベント、私、インターネットが大好きで高校一年生の時からインターネットの住人として生きてきたんですよ。ニコニコ動画が生まれたベータの頃から会員で」

素「凄いねえ」

喜「はい。それがもう何年前だ? いっぱい前です。で、ニコニコ超会議というこのイベントは、何て言うかなあ、凄く神聖なイベントなんですよね。そこでSF大会という、その、凄く歴史のあって、自分の好きなものって元を辿れば全部SFだと思うんですよ。本当に。あの実際にはない事とか。小学校の時にいじめられたりとかしてて、本当にSFしか逃げ場がなかった時とかあって。妄想する事でしか自分っていうものを保てなかった時期があって。そういう時期に凄い素子さんに助けて頂いたので、本当に今日はなんか、私は一応タレントという立場でここにいますけれど、本当にただのいちファンとして今日、この日に感謝しています。本当にありがとうございました」

素「そんな事を言ってくれて、こちらこそ、どうもありがとうございました」

川「きゃんち、実は、まだ、あるんだ」

喜「もう充分ですよ(笑)」

川「受け取って下さい」

素「副賞だって。副賞って、そうなのかこれは」

喜「わあ!」

川「キャットテイル!」

喜「キャットテイル! いいんですか、ぬいさん!」

素「これはね」

川「どういう経緯?」

素「誰が手に入れてくれたの?」

桜「平井君どこにいるんだ? 平井君、うちのスタッフの平井の方が」

素「そうか。スタッフの方のお友達が持ってて、持ってた子か何かで、開けてない子なんだよね?」

桜「はい」

素「これ、キャットテイルって分かります? こちらの方、分かります?」

川「キャットテイルで検索して下さいね。ラリー・ニーヴン……」

素「ラリー・ニーヴンのSFに出てくる」

喜「はい。勿論」

素「それでね、このキャットテイル私が読者の方に頂いて、あんまり可愛かったんで自慢してて、遂に物好きな会社が量産してくれたんですよ。で、その量産品で」

喜「本当に? でも手に入らないですよ」

素「これがうちの子」

喜「こんにちは、ぬいさん。あの、素ちゃん、お鼻くっ付けたらいいですよ」

川「はははは。段々感極まってきたね」

素「この子がねえ、これの量産品バージョンの最初の子でリナちゃんっていうんですけど」

喜「はい、リナちゃん」

素「うち、こんだけいましたから(笑)」

喜「そうなんですよねえ」

素「いまだにいますから」

喜「凄い」

素「この子、柄が違うでしょう」

喜「本当だ。この子は?」

素「これが第一号のダナさん」

喜「ダナさん」

素「でもダナさんの顔は……。顔は……」

喜「どこに……」

素「私の……脇」

喜「ここですね」

素「この写真だと分かんないかなあ。いや、ごめん、縫い包みの紹介しても仕様がないよね(笑)」

喜「いやいや、素ちゃんといったらぬいさんだから。凄い、大事にします。ありがとうございます」

桜「じゃあ、あの、どんどん長くなると思いますんで、申し訳ございません、あとは楽屋で」

川「内側でね」

喜「いやあ、そんな。今日は素ちゃんのファンの方とかSFが大好きなみなさんが来て下さってると思うので、今日はこのような機会にありがとうございました。これからも、SFというものは、もっとたくさん若者にも……。SF大会って年齢が高い方も多い……」

桜「上がってます」

喜「ですよね」

桜「今回、SF大会の参加者の年齢を下げたいというのがありまして、超会議に参加しております」

喜「はい」

桜「きゃんちのファンの方、是非お願いします」

川「喜屋武ちあきが広島に来たら『こいこん』来るぞって人、どれくらいいますか?」

喜「ありがとうございます。嬉しい。あの、本当にSF大会っていうのは自分の原点でもあると思うので、出会うのはちょっと遅くなってしまいましたけれども、是非これから色々とよろしくお願い致します」

桜「よろしくお願いします」

喜「みなさん是非、広島の『こいこん』、そして来年は筑波で開催されますので、是非SF大会にも参加して下さい!」(会場拍手)

川「はははは」

喜「ありがとうございます」

川「お後がよろしいようで」

喜「まだいっぱい言いたいけど、多分、時間もこの辺で、という事なので。今日は本当にありがとうございました」

桜「ありがとうございました!」(会場拍手)

喜「写真を最後に撮って頂いてもいいですか、一緒に」

 

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後編終了であります。

もしもご縁がありましたら、いつの日か、また、お目にかかりましょう――。

喜屋武ちあきの新井素子風自己紹介が巻き起こした波紋(中編)

2013年4月28日に開催された「ニコニコ超会議2」の併催イベント「日本SF大会"超"体験版」の企画「きゃんちさん(喜屋武ちあき)の新井素子風自己紹介が巻き起こした波紋……」を文字起こししました。

http://www.sf50.jp/niconico/kikaku1/sc_c.html

 

えっと、そろそろ中編が始まります。

 

喜「いやあ、ちっち、ちっち観客で今日は見てます。あの、妹も素ちゃん大好きで一緒にずっと読んで、妹です。あ、写さないで下さい、大丈夫ですよ、もう。一般人なんであいつは。はい、すみません。とにかく一緒に素ちゃんの話をしていて、仲間です。おたく仲間です。すみません本当、違うんですよ。今日はこんな私のプライベートな会じゃないんですよ。すみません本当、違うんです。ああ、もう本当にすみません。あの、本の話しましょう。素ちゃんの話、聞きたいです。多分、素ちゃんも小さい頃から本とか近くにあって当たり前のように作品を書くというのが、何て言うのかな、書こうって書いた訳じゃなくて、気付いたら書いてたみたいな感じだったんじゃないですか、やっぱり本とか文章というか。最初は妄想から始まったのかもしれないですけど」

素「あの、ほんと他にねえ、する事がなかったんです(笑)。未だに私、朝起きるととにかく何か活字を読まないと起きた気になれないっていうか。ずーっと起きてから寝るまでの間、家事する間とか食事する間とか生命維持に必要な事してる間以外は基本的に本読んでるんですけど、という生活を結構ずっとやってて。で、その内に読んでるものが溜まると何か出したくなるじゃん。食べてるばっかりだとお腹いっぱいみたいな感じで」

喜「インプットが七割くらいでアウトプットがあってって事なんですかね」

素「結局、今もそんな感じで起きて寝るまでの間に基本的に家事やって本読んで、寝る前にちょっと小説書いてみたいな。普通ね、作家ってプロになるとあんまり本読めなくなるんですよ。仕事忙しいから。でも私、仕事が忙しくって本が読めなくなるくらいなら本読んでる方が良いので(笑)」

喜「うーん、分かります。自分は大人になって仕事をしている中で、活字を読む機会は学生時代に比べたら減っちゃって……」

素「だから作家になって何が良いって、とにかく半ば無理矢理これは私の仕事だって言い切っちゃえる事なんですよね。本を読む事が。一番ベストなのは書評の連載やってる頃! 何読んだって仕事だもん!」

喜「おお、確かに!」

素「私は仕事の為にこの人の本を読んでいる!」

喜「そういう事が言えるんですよね、書評をやっていると」

素「うん。書評の仕事と、あとあれですよね、人の解説を引き受けたら、その人の本は全部読んで良いんだよ。仕事だから(笑)」

喜「最近何か面白かったご本とか、今読んでらっしゃる小説って何ですか?」

素「うん……(苦笑)。ただごとじゃないのを読んでるんで……」

喜「なになになになにー!?」

素「だって、そういう生活っていうのは年に三、四百冊は読むよね。一日一冊だとしても。最近、ここのとこずっとお気に入りっていうか、私がとっても楽しみに待ってるのは、うんとね、小川一水さんの『天冥の標』」

喜「はいはいはい。おお、拍手が」

素「おお、拍手来てる。あれ良いよね。早く続き出ないかな」

喜「私まだ読んだ事がないんですけど、どんなお話なんですか?」

素「面白いよ。ええと、あの話ってね、ちょっと説明すると構想が面倒臭くて凄いネタバレになっちゃいそうだから、読んで下さい。面白い」

喜「分かりました。読みます。素ちゃんの言う事は絶対だから、私にとって(笑)」

川「じゃあ、ここで色々と洗脳しときましょう。ねえ、きゃんちってあんまりSFのコアな部分は、あまり読まない?」

喜「ハインラインとかは読んだ事あるレベル。『夏への扉』とか。そういう当たり前のものとかは読んだり、あとファンの方でもSF好きな方とかいて小説くれたりとかして。いまいち海外の小説は読んだ事ない。筒井康隆さんとか小松左京さんとか、栗本薫さんとか久美沙織さんとかも好きですし、でもあまり純SF? はあまり読んだ事がないかも」

川「多分それって俺ら世代の教養って感じで、お父さんお母さんが好きだったものを本棚からどんどん引っ張ってきたからそうなってるんだよね」

喜「そうですそうです」

川「でも、ここ十年二十年、日本のSFもすっごい充実したのがいっぱい出てるし」

喜「はい、また改めて知ってみたいです」

川「素子さんからリスト貰うといいよ。これ読めって。渡していいですから」

素「ははは。いや、そうですね。この十年っていうと逆に難しいよね。基本じゃない、段々と発展しちゃってるっていうか、何を薦めるのが良いんだろう?」

喜「凄く今思ったんですけど、私の周りにはSF好きな仲間がいなかったんですけど、今日ここに来て裏でスタッフさんとお話させて頂いてたら、それこそ素ちゃんとか、それが大前提じゃないですか。知ってる事が。その環境が自分にとっては嬉しいというか。今日は本当に幸せだなあ、ってずっと思っていて」

川「僕なんかが言うのも口幅ったいけど、SFってコミュニティの感じが凄くあるジャンルで、僕が高校生で読者だった時に新井素子さんを直接知っていたっていうのも、なんか凄く作者と読者の距離が近いんだね」

喜「当時はどうやって知り合ってたんですか?」

川「ファンクラブ」

素「ファンクラブがあって」

川「公認じゃないんですよね。最初、非公認ファンクラブっていうのを、新井素子ファンクラブっていうのを始めた人達がいて、後にそれは非公認が取れるんだけど、公認ではないという」

素「ていうかね、あの、あん時ファンクラブがいくつかあったんだよね。で、どれか一つ公認っていうのも申し訳ない気がしたから全部あれになったんだけど。で、ファンクラブが出来てなんだかよく分かんないけど、当時ファンクラブの子って作者を遊びに誘うんですよ。ファンクラブってそういうもんだっけ?(笑)」

喜「いや、最近のでは考えられないですね」

素「でも私はね、外に、こんな事やるから一緒に遊びに行こう、くらいで良かったんだけど、吾妻さんとかファンクラブの人が家に入り浸ってなかったか? あれはあれで問題発生するんじゃないか?」

喜「吾妻ひでおさん……。そういえば私、二年くらい前の明治大学の吾妻さんとのトークショー見に行きました。でも、その時はまだお会いするのは違うって思って帰っちゃったんですよ」

川「なんかそれで、仕事で会えるまでは封印って決意したとか言ってなかったっけ?」

喜「そうです。自分の仕事をやっていく中で素ちゃんにお会いするっていうのは夢の一つだから、そんな簡単に叶えるんじゃなくて、自分がいつか、今日みたいなきっかけで、巡って……。今、私、十年目なんですよ。この仕事を始めて。そういうタイミングの巡り合わせを待とうと思っていたので」

川「申し訳ないけど当時のSFって凄くその辺が緩くて『新井さんディズニーランド行きませんか?』っていうので一緒にディズニーランド行ったっていう……」

素「行ったよ!(笑)」

喜「えー! それは川端さん、ファンとして?」

素「うん、ファンクラブで『宇宙魚』ってやってくれてた人がいて、団体でまとめてみんなでディズニーランド行こうって言ってくれたんですよ」

川「昨日ね、自分で何か書いたよなあ、と思って検索してたら『新井素子FC 宇宙魚 会報 第二号 1981年12月24日』っていうのに『一目あなたに作品評 川端裕人』って書いてあるんですよ。ははは。もう忘れてますよ、何を書いたか」

素「あの時代は別に私だけじゃなくて、SF大会とか行くと普通にSF作家がその辺を歩いてて、普通にファンの人が声掛けて喋って、普通に盛り上がって普通に飲みに行っちゃったりしてますもんねえ」

川「それは今もそんなに変わってないんですよね」

素「今も大体、似たようなもんなんだけど(笑)」

喜「自分にとっては凄い遠い存在だったから、不思議ですね」

素「でもそれ分かる。私もずっと星さんとか平井和正さんとかに憧れて小説書き始めて、この業界に入ってみたら、すぐそこに星さんとか小松さんとか筒井さんとか半村さんとかが普通に歩いてる(笑)」

川「小松さん歩いてるよ、みたいな感じですよね」

素「そう、パーティーとか行くと普通にみんないらして、そのあと普通にみんなで飲みに行こうかとか言ってたから、あの、物凄い距離が近い業界なんですよね、SF」

川「SFってそういう仲間感のある中で発展してきたところもあって、時々どん詰まっちゃうんだけど、時たま、わあっと広まる瞬間もあって。これ僕の感想なんですけど、2000年代以降、非常に日本でも色んな方面で凄い高レベルの作品が出てる。きゃんちはアニメの友達とか多かったの?」

喜「アニメ系が多いですね、今は」

川「やっぱり文字の世界からインスピレーションされてアニメになってくのが一つのパターンとしてあるじゃない? その大本の部分っていうのを作ってきた伝統が日本にもまだしっかりあるから、うん。だから『星へ行く船』アニメ化すると良いねえ」

喜「そうですね、ほんとに。アニメ化して欲しい!」

素「やってくれると嬉しいなあ!」

喜「アニメ化して欲しいよー! ほんとそうですね。あの、色々聞きたい事を書いてきたんだけど……。『星へ行く船』シリーズに限らず、素ちゃん的にこの作品は映像化に向いてるんじゃないかなとか、そう思われる作品ってありますか?」

素「私あんまり絵が見えるタイプじゃないので、今までやってみて思ったんだけど、私の小説って実はラジオドラマにすると一番上手くいってる感じがする。私自身が喋るんで、私、あんまり絵が浮かばないで会話から入ってきちゃうタイプなんで、音だけでやってくれると一番フィットするような気がするんですけど」

喜「確かにそれは喋る言葉の文章の繋がりだったりするので、それをアニメにするとなると凄く難しいかも。素ちゃんの喋り方をどうやってアニメで表現しようっていう。ここは大事なとこですね」

素「絵は難しいんですよね結構。あの、私の小説って変なとこで改行したり変なとこで丸が来たり変なとこで一行空けしてるんですけど、あれ私の気持ちではね、音読する時の音の空き方なんですよ。あの感じで間を取って音読してくれると一番読みやすい筈なんだけど」

喜「それは難しいなあ」

素「句読点をほとんどブレス記号で使ってるから」

川「でもねえ、今の日本の声優さんってめちゃくちゃレベル高いですから、あれ読ませれば凄い解釈してくると思いますよ」

素「いや、あの、この間のプラネタリウムの仕事でちょっと声優さんのお仕事を間近で見てて、本当にみなさん凄い上手いから……。私、普段そんなに映像見る方じゃないんでアニメそんなに拝見してないんだけど、あれ、凄い上手いんだね、きっと、みんな。別の仕事で貴志さんの『新世界より』をずっと通して観たんですけど、あれ新世界の時の子供の女の子と大人になった女性が同じ人なんだね」

喜「そうです、そうです」

素「あれ凄いなあ、と思って」

川「そう、男の子は変わっちゃうんだけどね」

素「男の子は声変わりしちゃいますもんね」

川「あれは凄かったね」

 

喜「素ちゃんは作家という職業に、高校生でデビューされてるんですよね。高二ですよね、確か。今は何年目という事になるんでしょう?」

素「それはですね……」

喜「あまり細かく言うと年齢の問題になっちゃうのでやめましょうか。でも何十年という……」

素「もうね、そう。だいぶ凄い事になってますね」

喜「ですよね」

素「うん」

喜「その中で最初と今って、感覚だったり作品の内容だったりとかも変わってきてると思うんですけど、何から聞こう……。作家をやっていて良かったって思われる時って、どういう時なんですか?」

素「とにかく本を読んでいるだけで生活が出来るってのは大変ありがたい。いや、本を読んでるだけでは生活は出来ないんです。書かないと生活は出来ないんですけど(笑)。本読んだり文章書いたりだけで生活が出来るってのは良いですよね。楽だし。あの、なんか、私、基本的に本読んで、文章書いて、ご飯作って、ご飯食べるのが好きなのね。で、兼業主婦で作家と主婦の兼業っていうと、ほぼこれやってるだけで一日が終わってくれるんですよ。良いでしょ?」

喜「はい」

素「あとやっぱりなんだろう。中学生高校生の時は本買うのが難儀だったんですよ。ハードカバー高いし。高校が駅からバス停四つ分くらいの所にあって、バスの定期買うって言って親から貰ったお金がハードカバー四冊にしかならないというこの悲しい事実とかね。毎日片道二十分歩いて、それをひと月やってハードカバー四冊。で、中学生高校生の間はなるべくハードカバーは買わない。三年待って文庫に落ちるのを祈るっていう生活をしてたんだけど、やっぱ作家になったらね、私はこの為にお金を稼いでるのよっていうか、これは全部必要経費でいいのよって思ったら、思いっ切り出た瞬間にハードカバーが買える」

喜「確かに。ハードカバーって高いっていうのもあるし、あとね、重たいかなって思って……」

素「かさばるっていうのがねえ」

喜「かさばる! 仕事行く時にちょっと鞄に忍ばせて読もうって事が出来ないから、なかなかハードカバーを買う勇気が出ないですね」

素「外に持って歩く人なんかは、だって通勤電車でさ、例えば宮部さんの『ソロモンの偽証』なんて読もうと思ったらちょっと地獄だよね。あと笠井潔さんの分厚いやつとかね。あれ外で読める本じゃないし」

喜「うんうんうんうん、そうですね、確かに。でも三年待って文庫で買うか、その時ハードカバーを買うか。みなさんいつも悩んでいるとこですよね」

素「だからそういう意味でもね、本の家を造って一番嬉しい事は、ハードカバーを買う時に容積的な遠慮をしなくて済む事。とか言ってたらそろそろいっぱいになってんだけどさあ(笑)」

川「はははははは」

喜「そうなんですよね。結局増えてっちゃうから、その増えてった本をどうしようみたいになるんですよね。私は今、妹と二人暮らしだからあんまりおうちに本を置けなくて。実家に置いたりとかしてるんですけど、もう駄目ですね。もう買ったらこれ以上は無理ですねっていう状態にすぐなってしまったりとか」

素「あのね、本の恐ろしい……。あ、でも最近の家屋はそんな事もないと思うんだけど、あれはある程度以上溜まると根太が抜けますから。ていうかその前に本棚って頑丈に作ってる筈なんだけど、普通に奥にハードカバー入れて上にハードカバー寝かせて前に文庫置いて文庫積んで、を全棚でやると、しまいに下の方の本棚が開かなくなるんですよ、重みで垂れてきて。で、本棚がいくつも並んでると床の根太自体が垂れてきますから。私、中学校……。中学じゃないな、高校の時か、な。私の子供の時に親が家を建て替えてくれたんですけど、それまで私の部屋は本棚がある方と本棚がない方で三センチ食い違ってましたから」

喜「えー」

素「鉛筆もビー玉も消しゴムも全部、転がすと同じ所に溜まるんで、あれね、マジで第二の関東大震災があるとか言われてたから、この部屋で寝てる限り寝てる間に地震があったら私は死ぬなって毎日思ってました。あれは怖い。やっぱり。本は好きだけど本で殺されるのは嫌かもしんない」

喜「うーん、嫌だあ。え、川端さんは? 川端さんは? おうちどうでした?」

川「いや、いいよ。二人の掛け合いの方が面白いから」

喜「やあ、もう、助けて下さい」

川「完璧に今、無茶振りだと思ったな。意識がそっちになかった。あの、うちは大丈夫です。僕そんなに本を溜めないんで」

喜「へえ」

素「割と本を始末出来るタイプの方もいるんだよね。出来るタイプですか?」

川「うん、出来ますね」

素「私まだ、ダブってる本を古本屋さんに持ってった以外で本を捨てた事がまだ一回もないんだ」

川「そりゃ増えるわ」

素「増えるわ」

 

中編終了であります。

喜屋武ちあきの新井素子風自己紹介が巻き起こした波紋(前編)

2013年4月28日に開催された「ニコニコ超会議2」の併催イベント「日本SF大会"超"体験版」の企画「きゃんちさん(喜屋武ちあき)の新井素子風自己紹介が巻き起こした波紋……」を文字起こししました。

http://www.sf50.jp/niconico/kikaku1/sc_c.html

 

あ、この辺で自己紹介しとくね。あたし、ゾイド。身長158センチ。体重は……えと、これでも一応女の子なので秘密にしとこうかな。靴のサイズは23.5。身長も靴のサイズも、至って日本人の平均ど真ん中ってとこ。とかって新井素子風に自己紹介してみる。

 

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えっと、そろそろ前編が始まります。

 

川端裕人(以下、川)「僕、きゃんちと会ったの今日が初めてで」

喜屋武ちあき(以下、喜)「はじめまして」

川「はじめまして」

喜「あの、あれですよね、川端さんといえば風男塾という男装アイドルユニットがエンディングテーマを担当しているアニメ『銀河へキックオフ!!』の原作者の川端さんですよ」

川「風男塾とは仲良しなんですよ。風男塾の桃太郎君とか特に仲良くて、よく話を聞いてたんだよね」

喜「そうなんですよ。あの大丈夫です。同一人物という設定で問題ございませんので」

川「はい、ここで縛りが一つ解けました」

喜「設定を守って頂いてるんですけど、私、風男塾という男装アイドルユニットをやっていまして、そっちの方で川端さんとは面識があったんですけど、今日はこの何て言うんですか、色んな経緯で」

川「どういう経緯だったんですかねえ」

桜井晋(以下、桜)「一番最初にTwitter新井素子風自己紹介を書かれたのがきっかけで」

喜「そうですね。凄く厳密に言い始めると長ーくなっちゃうから、今回のニコニコ超会議で、SF大会"超"体験版で、こういう企画が行われるようになったっていう経緯は、私のTwitterでの自己紹介からですよね」

桜「そうです」

喜「そうです」

川「それでですね、とにかくきゃんちが新井素子さんに会いたいと」

喜「会いたかった」

川「僕、素子さんに会った事あるよって、誰かに話してみようかって」

喜「凄い、良いなあって言って。そしたら色々と繋げて下さって、ね」

川「もう十五分後くらいにね」

桜「回り回って、僕、別の仕事で喜屋武ちゃんとご一緒した事がありまして」

喜「桜井さんとは逆にもう五年くらいのお付き合いでもあって、SF大会にも前から是非ってお誘い頂いてたんですけど、なかなかスケジュールが合わず行けなくて」

桜「それで川端さんの方からぐるっと回って、じゃあ僕から喜屋武ちゃんにって事で、今回、僕ら見届けさせてもらいます」

喜「ありがとうございます」

川「で、最初にここで一つお願いしたいんだけど、僕らなんかどうでもいいから、きゃんち、みんな知ってるだろうと思うけど自己紹介お願い出来ますか? 新井素子風に!」

喜「えー」(会場拍手)

川「これ大事だよね。それ終わったら素子さん呼ぼう」

喜「そうでなくても今、いっぱいいっぱいで頭が真っ白なんでございますよわたくしはもう」

川「いいじゃないですか」

喜「えーどうしよう。はい。あー。ああー。はい。えっと、じゃあこの辺りで自己紹介しとくね。あたし、喜屋武ちあき。身長158センチ。足のサイズは23.5。年齢29……歳になりました(照)。どこにでもいる普通の女の子です。はい、もうよく分かんない。はあ、もう駄目ですよ今日は」

川「オッケーですか?」

喜「いいよね、もう? えっと、あたしって言ってれば。そこが大事ですよとても」

川「あれだよね。体重は? とか聞かれたら?」

喜「体重は46キロくらい」

川「それ、それ、新井素子さん的にはそれ違うでしょ」

喜「あの内緒、にしとく、女の子だから」

川「女の子だからって言わないと」

喜「忘れてた。女の子っていう事だった。女の子だから内緒です」

川「はい。これまで引っ張っても仕方ないですね」

喜「そうですね」

川「じゃあそろそろ」

喜「でも私、今日これTシャツ、下に、これ(下のTシャツ)」(会場拍手)

川「I LOVE SF、ね」

喜「脱ぐべきか迷ってるんです。でもこれ(上のTシャツ)は五十周年のSF大会のやつだから」

桜「これ、SF作家クラブの」

喜「SF作家クラブの五十周年の記念のTシャツなんですけど、中は」

桜「I LOVE SF、で」

喜「はい。SFリスペクト」

川「ではどのタイミングで脱ぎっぷりを披露して下さるかってのは後々のお楽しみに」

喜「もう、あの、はい」

川「じゃあ何はともあれ」

桜「呼びましょうか」

川「みなさん、みんなで呼びますか? 素子さーんって。いい?」

喜「はい! いいですよ! あ、やばいやばい……」

川「せーの……」

喜「待って! やっぱ駄目! やっぱ駄目ー! ああああ!」

桜「もう出てきますよ」

喜「じゃあ、お呼びします。素ちゃん! 素ちゃん! わあ、こんにちは!」(会場拍手)

 

喜「はじめましてどうも。わあ、ちょっと、どうしようどうしよう。本物ですね。やばーい。やばい、落ち着こう」

川「落ち着け落ち着け。挨拶は?」

喜「はい。えっと、あたし、喜屋武ちあきと言います。よろしくお願いします」

新井素子(以下、素)「はい、どうも、はい。あたし新井素子と申します。よろしくお願い致します」(会場拍手)

桜「じゃあ座って頂きましょうか」

川「ちょっと落ち着く為にも座りましょうか」

喜「はあ……」

桜「この時間は喜屋武ちゃんの六十分なんで」

喜「ありがとうございます。すいません、ほんとに。もう、なんか、色々とすいません。ありがとうございます。はあ……」

素「ははは」

喜「あの、この眼鏡はやっぱり自分の中ではアラレちゃん眼鏡ではなくて、アライちゃん眼鏡っていう感じなんですよ。素ちゃんが……。素ちゃんってそもそも呼んですいません!」

素「どうぞどうぞ」

喜「大丈夫ですか、素ちゃんって」

素「大丈夫」

喜「目の前にすると素ちゃんって言うのは失礼な気がするんですね。新井先生が……」

素「素ちゃんでいいから、素ちゃんでいいから」

喜「素ちゃんが眼鏡をよく掛けていらして、当時ね、掛けていらっしゃたかなと思いまして。今日はちょっと眼鏡とか持ってきたりしました」

素「でも似合ってた。可愛かった」

喜「ありがとうございます。よろしくお願いします」

素「よろしくお願いします」

川「きゃんちは小学校の頃にお母さんの影響で新井素子の本と出会ってしまった。運命的に出会ってしまった」

喜「そう! 私は父親が元々編集者をしてまして、母は凄い本が好きなんですよ。それで環境的に小さい時から家にいっぱい本がありまして、それで小学生の時に母から薦められて、一番最初に読んだのは、あの『くますけと一緒に』を読ませて頂きました。それが多分、小学校二、三年です」

素「あんまり小学生に読ませる本じゃなかったような気もするんですけど」

喜「はい、実はその通りでして当時はでも自分の都合の良い所で、くますけの可愛さとか、そういう所で読んでたんですけど、今思うと最初に読む作品という感じ、まあ、何を母が考えていたのかはちょっと分かりませんが」

素「ヒロインがその年なので、そんなもんですよね?」

喜「そうですね」

素「それ以外のはどんなに若くても16歳くらいだったから」

喜「はい、そうですね。やっぱり多分ヒロインが若いって所で共通するかなと思って」

素「しないよ多分(笑)」

喜「まあ、そうですよね。母親、親が亡くなってる所からの話ですからね、あれも。何故かはよく分からないんですけど」

素「私の話って親の葬式から始まる話多いね(笑)」

喜「ははは。確かに親が亡くなってしまうとことかありますよね確かに。描写としては。でも全然、おかげさまで今はすくすくと成長しておりますので。なんら人格形成に問題はなかったんではないかと思われます」

素「ありがとうございます(笑)。人格形成に問題なくて良かった」

喜「ありがとうございます。あの、今日、素ちゃんにお会いするという事で、ニコニコ超会議……。素ちゃんって、ぬいさん(縫い包み)が凄い好きですよ。好きなんです。よね?」

素「はい、ええ」

喜「動物とかのぬいさんの方がお好きかもしれないですけど、もし良かったら今日、お土産にと思って、ニコニコ動画のテレビちゃんの縫い包みを差し上げます。良かったらお持ち帰り下さい。ふわふわで気持ちが良いです」

素「この子が普通の顔ですか?」

喜「この子が普通の顔なんです」

素「なんかね、さっきね、そこの囲碁将棋のとこ覗いてたら障子紙にこの顔が少しデフォルメされてて。あっちが普通じゃないんだ?」

喜「多分、大体こんな感じですよね、顔はね。テレビちゃんは」

素「ごめん、縫い包みの顔のどっちがデフォルトかってのは、こういうとこで聞く事じゃないね(笑)」

喜「でも大体こういう感じで。テレビちゃんの、ね」

素「ずっとね、分かんなくて、入ってきたらこれ付けてる人がいっぱいいて」

喜「そうなんです、これ」

素「アンテナなのね」

喜「そうですそうです、テレビちゃんのです」

素「ねえ、今時のテレビってアンテナってあるの? あるのか。あるんだ?」

喜「いや、ないですね、今は。ないですないです。テレビはアンテナないです」

素「そうか、君は旧型なんだな、少し」

喜「はい。で……。それで?(笑)」

川「素子さんなんかにしてみるとね、僕なんか、ほら、青春時代の、一緒にいつもいた素子作品なんだけど、でもちょっとジェネレーション違うでしょ? その一つ子供世代に近いような? そういう方って最近増えてます?」

素「いや、私ほんとに分かんない(笑)」

川「分かんない? 結構、鹿児島の公演とかでも……」

素「あ、やっぱりね、あのね、私よりきゃんちさんくらいの年で小さいお子さんがいらっしゃる感じくらいの、ちょっときゃんちさんが上なのかな? そういう人がメインだった。だからこの間、鹿児島でプラネタリウムの企画をしたんですよ。プラネタリウムの企画だから子供連れのお母さんが結構来てて。小さい子供だから二十代後半から三十代前半くらいのお母さんで、読者だった方が結構来て下さって。私のトークイベントとかその後サイン会やったら結構並んじゃって。子供が凄い帰るとか言ってんのに、お母さんがママが楽しむんだからこれから、とか言って。申し訳ない事をしてしまったかもしれない(笑)」

川「それってママが無理に連れて、ママが行きたいの、とか言ってるのね」

素「そう、これって子供向けのプラネタリウム番組で、終わった後に一時間も並ばされるって子供にとっては悪夢だよ(笑)」

川「やっぱりね、なんか、ちょっと珍しい所ありますよね、きゃんち、ね」

喜「そうですかね。なので本当、素ちゃんの書かれた作品は常に家の本棚に並んでいて」

素「ありがとうございます」

喜「でも自分でわざわざね、勿論、大人になってからは自分で本屋さんに行きましたけど、もう常にそこにある状態で読み放題だったんですよ。で、凄く自分の人間を作る上で新井素子さんという方が自分にとって凄く大部分を占めているんですよ、ほんとに。そういう育ち方をしてきたんですよ。幼稚園の時から自分でお話を作って、絵本を紙で作ってお父さんに売ったりとか、五十円ぐらいで買ってくれるんです(笑)」

素「売ってんのか(笑)」

喜「五十円くれるんですよ(笑)。描くと。で、小学生の時に小説を夏休みに書いて市のコンクールに応募して賞を頂いたりした事もあって。全部、素ちゃんの影響というか」

素「売りはしなかったけど私がやってるような事だもんね(笑)」

喜「同じですか?」

素「うちも親が両方編集なんですよ。家にやったら本があって。父がSFとミステリーのマニアで。当時だから早川の銀背とかポケミスとか創元のSF文庫とかがほとんど手付かずに全部あったんで、何一つ買わなくて読めたっていうね」

喜「それは凄いですねえ」

素「凄い恵まれた環境だったんですよ」

喜「素ちゃんが『銀婚式物語』で家を建てて、全部本の為に家を造ったじゃないですか。それ自分も小さい頃からの憧れというか、夢ですね。その環境はやっぱり」

素「あれはね、造っといてなんだけどめっけもんだったと思う。とにかく天井までの作り付けの本棚がずーっとある部屋なんで」

喜「凄ーい!」

素「それが五十センチ間隔で本棚が並んでる部屋なんで要するに何て言うんだろ、本棚の奥行きが四十センチくらいあるから八十センチメートルの柱が六十センチ置きにずーっと立ってるって異常な部屋なんですよ。だからとにかく暗いし換気は悪いし、ただでさえ三年くらい接着剤の臭いが抜けなかったんだけど、逆に言うと、この前の東日本大震災でこの本棚の本、一冊も落ちなかった」

喜「おお、凄い」

素「作り付けの本棚は凄いよ。同業者で本棚が折れてパソコンに直撃とかって話、結構聞いたんで、天井まで作り付けの本棚は、みなさんの命を守るかもしんない」

喜「ほんとそうですね。天井まで作り付けの本棚のある家に住みたい」

素「しかも長さが六十センチあって、作り付けなんで遊びがないので、物理的に倒れようがない。あとは家そのものが倒壊したら駄目ですけど、その時はどっちにしろ命はないという事で(笑)」

喜「造ったばっかりの家がすぐ崩壊したら結構悲しくなっちゃいますよね、確かに。あの、それで、あの……」

川「きゃんちきゃんち、じゃあさ」

素「頑張れ!」

川「あ、どうぞどうぞ」

喜「あの、はい、あっ」

素「いや、私は単に頑張れって言っただけだから」

喜「ありがとうございます。多分、母が素ちゃんの作品を好きだった理由の一つに、母も東京出身というか、中野区辺りだったと思うんですけど母は。私も生まれから西武沿線なんですよ。西武線にずっと住んでいて、所沢の方なんですけど。なので練馬という場所が自分にとって聖地というか、練馬にはあまり小さい頃は行った事がなかったんですけど、素ちゃんの本で練馬の事が書いてあったりとか、あとエッセイでお散歩の話とか、道に迷ったって話とかいっぱい出てくるじゃないですか。なので最近また『・・・・・絶句』を読み直した時にも飯田橋って分かる、みたいな。当時は全然分からなかったのに。って凄く思ったりとか。しました。という報告です」

川「あのさ、ここまで愛を告白したら、もう個別にきゃんちが薦める新井素子作品集みたいな、自分が作品集を作るんだったら第一巻は何で、みたいなの作っちゃう?」

喜「えー、そんな事、いやいやいや、え?」

川「じゃあ、まだ未読の幸せな人達にお薦めするベスト5とかさ」

喜「未読の方に……。私は、ぶっちゃけ一番好きな作品は」

川「くますけ?(笑)」

喜「『星へ行く船』シリーズが凄く好きで……。あ、みなさんも好きですか? 嬉しい。このシリーズは冒険活劇というか、自分の中で夢があったりとか宇宙に行きたいなとか、そういうのを初めて思った作品かもしれなくて、だから『星へ行く船』シリーズを入れたいんですけど、シリーズだけでもう本がいっぱいになっちゃうから駄目ですよね。どうしよう」

川「でもそれちょっとプッシュしといた方がいいよ。なんか再刊が決まってるんですよね?」

素「ええとね、とりあえず今『星へ行く船』は手に入らないと思うんで、現状。今度、出版芸術社から五冊、改めて『星へ行く船』から『そして、星へ行く船』までを再刊してもらって、予定で、去年の間にゲラまでは終わってるんですよ。あとはだから私が各々一本ずつ書き下ろしを書けばいいだけなんだが(笑)」

喜「いやあ、書き下ろし! 凄い!」(会場拍手)

川「ほら来たね、これ、書き下ろし」

素「とりあえず短編で水沢所長の事情とか麻子さんの話とか中谷君の話とか熊さんの話とかを書こうかなあ、と。要するに主人公二人はもうずっと出ずっぱりだから。とりあえず中谷君までは行ったんで。今は水沢さんを書いてます」

喜「水沢さん……。楽しみ凄い。あの『星へ行く船』シリーズもそうだし、スターシステムと言われるような形で素ちゃんて登場人物が他の作品にも出てくると思うんですけど『・・・・・絶句』のあとがきとかに、この後こうなりますって書かれてたじゃないですか。そういうのとかも勝手に想像して楽しんだりとかもするくらい」

素「そうしてくれると嬉しい」

喜「楽しんでます」

素「このシステムの一番の問題は私が年を取ると対応出来ないって事なんですね」

川「はははははは」

素「つまり、ものによってこれは昭和何年とか平成何年って判っちゃう話があると、年が凄い勢いでずれてんのよ。書くのが遅い所為で『ブラック・キャット』を最初に書いたのが中学校の時だったから、その当時の設定で行っちゃうと秋野警部が奥さんと離れ離れになった事情とか全部作ってあるんだけど、あったんだけど、すまん、今更戦後のごたごたを持ち出されても困るでしょうって、そういう話になっちゃってるんで」

喜「そうですよねえ」

素「一体この人達は何歳なんだっていうね」

喜「うんうん、確かに」

素「実生活で四十年経過してる間に話の中で一年経過してないから(笑)」

喜「実際の時間っていうのが。確かに自分の中では、作品を読んだのがリアルタイムで出版されてすぐじゃないものもあるんですけど、だから青春時代に川端さんは読まれていて、出たら買いに行くみたいな。本が出た日に手に取れたんですよね? 当時は。それがあまりなかったので、私は。いつ書かれたものとかそういう年表みたいなものは頭の中にないですね。昔の事だとも思わないですし」

素「年代を特定させるような事はほとんど書いてない筈なんで、極めて特殊な話を除けば。全然気にしなくて読んで頂いてそんなに問題ないと思うんですよ。唯一問題なのは登場人物が誰も急ぎの用がある時に携帯を使わない事なんだけど、なかったから当時は」

喜「で『星へ行く船』が再刊行されるという事で、私は本当に、これは願望ですけど、私がもし宝くじを当てて三億円を手にしたら、まず最初に素ちゃんの『星へ行く船』シリーズのアニメ化をやりたいんですよ」(会場拍手)

素「ああ、良いなあ」

喜「本当に面白い作品ですし、今の時代にも、丁度アニメとかってSFっぽいとか魔王とか、最近のアニメそういうのが多いんですよ。それは何故かというと、ファンタジーを読んで育った大人が今、スタッフさんとして入ってるからだと思うんですよ。なので素ちゃん好きのスタッフさんもたくさんいる筈だし、だから、ちょっと桜井さん『星へ行く船』アニメ化!」

桜「やらせて下さい」

喜「やりましょうよ、プロジェクト」

桜「どこでお金集めるかやね。まずそっから」

喜「ちょっと、製作委員会作りましょうよ。お願いしに行きますから私、本当に」

川「関係者の方、あとで後ろに集まって下さいね」

喜「アニメ作れる人! お願いします!」

川「あの、お金持ちとか、お金持ちとか、お金持ちとか」

桜「宝くじ当たった人とか、よろしくお願いします」

喜「スポンサーさーん! お願いしまーす! でも本当に私お金あったら出すくらい好きなので、そういう方いると思うんですよね」

素「いてくれたらありがたいんですけど」

喜「素ちゃん的にはどうですか、そういう自分の作品がアニメとか例えばドラマとか、前に『結婚物語』とかドラマになってますけど」

素「私、自分のお話が二次使用されるのは凄い好きなんですよ。嫌いな人もいるんだけど、要するに小説が終わっちゃった後は自分の作品じゃないと思ってるんで、なんか私の作ったキャラクターと設定を使って他人が遊んでくれてる感じが好きなんだけど。だからあまり原作に忠実にやるよりは思い切り愛を込めて変な風にしてくれた方が嬉しかったりするんですが」

喜「素晴らしい。でも自分達の中にも太一郎さん像とかめっちゃあるんですよ。太一郎さんはこうじゃなきゃ駄目なんだみたいな、凄いこだわりがあるから」

川「それキャラデザレベルから人にやられるんだったら自分でやりたいって?」

素「多分、全員一致しないよね。ここにいる三人が適当にキャラクター設定したら必ずずれてると思うし」

喜「ああ、ありますね、多分ね。でも絶対に太一郎さんとかは今の時代にもみんな格好良いと言うヒーローだと思うんですよ」

素「だと良いですけど、うん」

喜「格好良いから、と思います。是非メディアミックスというか新たな展開がいっぱいあると良いなって思っていて」

川「あれでしょ、風男塾がオープニング歌うんでしょ?」

喜「他の人が歌うくらいだったら歌いたいですよ、本当に」

川「エンディングも歌うんでしょ?」

喜「だって、作品とか好きじゃないのに、ね? 歌うのはちょっと違うじゃないですか。愛があるから歌うんでしょ!? ってめっちゃ思うもん。だって私、風男塾で『ヤッターマン』ってアニメのオープニングテーマを歌わせて頂いた事があるんですけど、その時もコンペに出したんですよ。曲を歌って。で、山本先生から、風男塾は一番歌が下手だったけど一番愛が伝わったっていう理由で選んで頂いたっていう経緯もあるし、やっぱ愛ですよね、全ては。って思うんですけど。川端先生のね、作品もアニメ化されてますからあれですけど」

川「愛を歌ってくれたよね」

喜「勿論。だって原作もすぐ読みましたし。愛を持って歌いました」

川「ありがとうございます。風男塾の仲間にまず素子教を布教しないといけないよね」

喜「ん?」

川「風男塾の仲間に素子さんの作品どんどん読ませないと」

喜「はい、それはもう私が全部読み聞かせをします(笑)」

川「読み聞かせね(笑)」

喜「多分、風男塾って言っても素子さん何の事だか分からないと思うんですけど、こういう男装アイドルユニットをやっていまして、えっと眼鏡が……」

 

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素「そうなのー!?」

喜「そうなの」

素「ふーん」

川「判りますか? 誰か」

素「全然判んない。これ男の人に見える」

喜「そうです。こういうのあったりとか。このピンクが私。男の子に見えるって言ってくれた!」

素「ごめん、男の子に見えちゃまずい?」

喜「ううん、嬉しいです」

素「男の子に見えちゃったんだけど」

喜「で、自分は文章とかを書くのが好きなんですけども、この七曲目の『飛び立て!フゥレンジャー』っていう曲は私が作詞を初めてした作品で、これは素ちゃんに捧げます」

素「ありがとうございます。早速帰って聴いてみます」

喜「ありがとうございます」

素「でもほんとにほんとに同じ子に見えないよー」

喜「ありがとうございます。嬉しいです。やっぱり私は今の時代でいうと凄くおたくなんですよ。アニメとか大好きで、小さい頃から本をいっぱい読んで育って。その根底に素ちゃんがいるという事で、はい。今日はこのような良き日に……」

桜「まとめないで下さいよ。まだまだありますよ」

川「まとまっちゃったね、見事に」

素「今まとめるような時間なの?」

桜「全然。まとめたら駄目ですよ。まだまだいけますよ」

川「もしもまとまっちゃったら最終兵器ちっち呼ぶからね?」

 

前編終了であります。